チエちゃんと私 (文春文庫)

チエちゃんと私 (文春文庫)

本当に久しぶりに本を読みました。
よしもとばななさんの、この「チエちゃんと私」は、2008年に出版された本で2009年に文庫化されたようですが、タイトルも何も全然知らなくて、ふっと読んだら、とてもよかったです。
よしもとばななさんの好きなところは、素直な言葉で、心の探求を丁寧に描いているところ。

そうだ、私が心配しようとしまいと、気をつけようとつけまいと、人の命を救うことはできない。できるという幻想はいつだってあるけれど、意識してできることではない、そんな風に思う。
(中略)
人は人を、ただ目の前に確かにいるときに愛するしかできない。

同じ冷蔵庫、同じ匂い、同じTVの音の中でいっしょに育った人間がここにいた、そのことを普段は忘れているのだけれど、こういうときにずっしりと思い出がつまった箱を開けたみたいによみがえってくるのだ。

(主人公・カオリちゃんが弟について思うくだり)


なんとなく読んだ本が、すごく良かったというのは、とても幸せな前向きな気持ちになります。